もしカカオが世界通貨になっていたら?

経済史
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※この記事はシリーズ「貨幣とは何か?」の第4回です。(全7回)

── 金本位制 豆本位制で読み解く、通貨制度と信用の逆説

前回(アステカの通貨は“チョコの素”だった)では、アステカ文明で実際にカカオ豆が通貨として流通していた事実と、なぜ金ではなく豆が選ばれたのかを見てきました。

今回はその延長として、もしカカオ豆が金の代わりに世界通貨になっていたら…という“もしも”の世界線を通して、貨幣における「信用」や「制度」の本質に迫っていきます。

世界が「カカオ本位制」だったら?

16世紀、もしスペインがアステカの金ではなくカカオ豆の貨幣性に着目し、それを世界に広めていたら……?

私たちの世界は今、こんな風になっていたかもしれません。

為替レート:1 USD = 74 CACAO 中央銀行は巨大な冷蔵倉庫で豆を保管 国際決済の基軸通貨が「ダークチョコベース」 ハイパーインフレでは「豆が腐った」とニュースが騒ぐ

冗談のようでいて、実際の貨幣制度の構造を可視化する思考実験として非常に示唆に富んでいます。

Bean Standard──豆本位制の経済学

通貨制度

各国の通貨は保有する豆の量に応じて発行上限が決まる 国際通貨基金(IMF)は**IBF(International Bean Fund)**に改名

■ 中央銀行の仕事

年次報告書:「本年度の発酵率・虫害率・冷蔵保管成績」 金融政策:「焙煎するか、発行抑制するか」で方針が割れる

■ 資産格差

富裕層はヴィンテージ・カカオを金庫に保管 「香りの良い豆ほど資産価値が高い」とされる香気資本主義

このように制度を“豆に置き換えてみる”ことで、実際の通貨制度の構造的な奇妙さが浮かび上がってきます。

◆ 腐る通貨は、インフレかデフレか?

ここでこんな疑問が浮かびます。

「豆が腐ると供給が減る=価値が上がる=デフレになるのでは?」

確かに、商品としての豆の供給が減れば希少性が上がって価値は上がる。

しかし、貨幣とは「信用」によって支えられている以上、腐敗が制度不信に繋がると、逆に“インフレ的現象”が起こりうる。

豆が腐る → 通貨としての信頼が揺らぐ → 誰も受け取らなくなる 流通不能 → 代替手段への移行 → 通貨としての価値が崩壊

つまり、物理的には希少でも、制度的に“腐った通貨”は価値を失うという逆説が成立する。

◆ 現代通貨も“意味で支えられた豆”なのか?

紙幣は、もう紙ですらない。

スマホに表示される残高、送金履歴、ブロックチェーン上の記録……

それらはすべて、信用されている限り“通貨”として機能している。

つまり、現代の通貨も「腐らない豆」として制度に冷蔵保存されているようなもの。

意味が共有されている限りは価値を持つが、制度が壊れればそのまま腐る。

物理的な保存性より、制度的な信頼性。
それが現代通貨の前提条件である。

猿トル
猿トル

「腐る貨幣」は悪いこと?
実は、古代や中世の一部経済思想では「貨幣は腐ったほうが良い」という説もあったんだ。
貯め込めない通貨は流通が促進されるからね。
「価値が減っていくこと」=「経済が回る仕組み」と見る考え方もあるんだよ。

次回では:
物でも豆でもなく、「数字」によって動く現代の通貨。
我々が信用しているのは、本当に“国家の保証”なのか、それとも“他人の信用”なのか?

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